なんでもなかった事をヒトツ。長めに。

コレ一枚あるだけで全然ちゃうねん。暑すぎやろ。と、何ヶ月か前まで怒りに震えていたのに、今じゃすっかり大切な防寒具と化したマスク。

あれほどなんか嫌やなーと思っていた黒色のマスクも今じゃすっかり白色みたいな扱いになっている。色の価値まで変わったな。

2021年3月です。


2020年は救急車で運ばれたこともあったりして体調が悪く、色々検査はしたけど全てストレスで片付けられてしまって原因不明のままだったこともあり、生まれて初めて健康診断に行った。

健康診断に行ってもどうせ医学的にデブだと言われるだけだろうと思うし、別に綺麗に生きれなくても良いかなとも思って今まで行かなかったけど、ホント去年がしんど過ぎたから全部調べようと。

結果は

大腸癌の所見あり、再検査要。

ふざけるなよ。どこにも医学的にデブだと書いてない。それを上回って返してくんなや。

不安だ。

健康診断を乗り越えただけで世界一健康な気分になってただけに怖い。

近くの病院で検査の予約してから数日。

ふとした時に、あぁーそういえば癌かもしれへんねや。と、何度も思う瞬間があった。


検査を受ける為に前日から食べるもの、食べる時間、薬を飲む時間、全てスケジュールが決まっていた。検査当日は仕事も休みで良かったが、スケジュールを守る為には検査の前日、仕事を早退しないといけなかった。

うちの職場は今異常に忙しいが、上司は「それは大変だ。早く検査したほうが良いんで全然大丈夫ですよ。」と言ってくれた。


検査前日。7時ー

大腸カメラ検査食の朝食分を食べる。とにかく臭くて不味くてビックリした。臭い飯、あたしは囚人か。


11時ー

職場着いて就業前に昼ごはん。とにかく臭い。こんな臭い飯をあたしはお金を出して買ったのかと思うとホントに健康診断なんて行きたくなかったな。と思う。知らないほうが良いこともある。


12時ー

就業中。11時半から仕事で5時間の休憩なしで早退する。忙しいのに本当悪いなー。

そして昼礼が始まった。

上司が強めの口調で

「今日はとても忙しいです。その上、栄さんが病院へ行く為に早退します。普通にやってたんじゃ絶対終わりません!個人個人がきちんと意識して取り組んでください!!」

今世紀最大の帰り辛さになった。

昼礼終わったあと皆、軍隊みたいにピシャッとすぐデスクについたぞ。最悪やな。

これが社会です。健康診断なんて行くもんじゃない。

あたしはいつも以上に頑張った。


16時半ー

退勤。時間ぴったりで「すいませーん。帰りまーす。お疲れ様でした」と言い散らかした。

いつも普通にとおっている通路が凄く狭く感じた。


18時ー

帰宅。夕飯分を食べる。臭くはなかったが美味しくはないご飯。

その横でユカは美味しそうな夕飯を食べていた。でもユカの優しいところは、検査食しか食べてはいけないあたしに隠れてお菓子を食べてくれるところ。袋のカサカサは聞こえるけど食べてるところを見せない努力をしてくれた。


21時ー

下剤を飲む

「この薬を飲んだらもうこの日は寝てください」と看護師さんから説明があった。

まだ寝れる気はしないけど、とりあえず横になった。


深夜1時ー

この時間帯からトイレへ頻繁に行く。

寝れたもんじゃない。そりゃそうだ。強力な下剤を飲んだんだからな。あたしは。

ほんまにクソやな


3時ー

4回目のトイレでケツが終わった。

もう痛すぎて、次トイレに行くことがあったとしても何にも感じないだろう。何故ならもうケツ終わってるから。そして、眠い。

トイレ行ってやっと寝れそう、うとうとってなったらまたお腹痛くなりだす。腸も性格悪い。


4時ー

終わったと思ってたケツがまだ生きてた様で痛い。もうええで。

その後、外が明るくなるまでトイレ通いが続いた。もうええで。


9時半ー

検査当日は絶食ですが、1時間かけて極め付けの下剤と1.8リットルの水を混ぜた物を9時〜10時の1時間でゆっくり飲まなきゃいけないのに、寝不足すぎて9時半にしか起きれなかった。

なんでそんな事したのかわからんけど、10時までに飲み終えなければと思い一気飲み。

そこは1時間かけてゆっくり飲む。の方を優先させたら良かったやんか。下剤で判断能力まで捨てた様です。

空腹に大量の水で気持ち悪くなった。

あーあ。普通に朝ごはん食べてた日が10年ぐらい前のことの様に感じるなー。


11時ー

第二次トイレ戦争。

もうええて。ほんま。もうええて。

もうなんもでえへんのに、水だけやのにケツから出るから。ケツが痛すぎて涙が出てきて泣いた。

「なんでもう水しかでえへんのに、これ尿のほうにでけへんの?切り替えスイッチ作ってや」と泣き喚いていたら、ユカが笑って「あと数時間の我慢やからな」と言ってきた。

何時間やってると思うてんねん!と八つ当たりしようかと思ったけどグッとこらえました。

とにかく何回もトイレへいった。

喉乾いて水飲みたいけどまた飲んだらすぐケツから出るからやめた。


13時ー

ほんまにケツ終わった。

こんなに終わったケツからカメラ入れられるんか最悪やな。でも、湘南美容外科で脱毛してるから良かった。

前までエステ脱毛やったけど医療脱毛のが、断然良い。この日の為に脱毛してたんかもな。AFもなしで今までやってきたのに、まさか、こんな検査でそうなってしまうだなんてな。


14時ー

ユカに送ってもらって病院着。

自動ドアが開かずインターフォンを押すけど応答なく。

別に良いけど、これだけやっても結果知りたい様な知りたくない様な感じやし?このまま帰っても良いけど?と思いながら、車の中のユカを見たら心配そうな顔でこちらを見ていた。連れてきてもらったし、と思ってもう一度インターフォンを押すとさっきとは全く違う感触がしてピンポーンと音が聞こえた。

1度目は押したくない気持ちが強すぎて押し切ったにもかかわらず、微妙な匙加減で押せずにいたらしい。

「はーい」

「14時15分から予約の栄です」


14時半ー

うっすい検査着に着替えて待たされる。その上にガウンも着せてもらったけど寒すぎて無理。

「前の検査の方が長引いているのでもう少しお待ちください。寒いですか?」と。

「寒いです。靴下履いて良いですか?」と聞くとブランケットをくれたけど、靴下履きたかった。寒い。

しばらくして検査室へ

 

冷たいベットに横になって、点滴されて、医者登場「眠くなるお薬入れていきますよ〜」と、いわれ「どこに?」と言ったら「点滴にです」と言われて、ケツからじゃなくって良かったと。安心した瞬間からもう記憶がない。

めっちゃ寝たわ〜と思って目を開けたら、モニターに自分の腸らしきものがうつっていた。綺麗なピンク。まだ検査中だった。

看護師さんが「あー!!!!!起きましたー!」と何年ぶりかに目覚めたのか?と思うぐらいびっくりされた。

目はあけてて起きてるけど体は動かずで、ずっとモニターを見ていた。

こんなにまで中の方見られてるのに感覚がないな。麻酔ってすごい。

「よし!おわった!」とドクターの声。

 

ベットのまま別の部屋に連れて行かれて「体のだるさがとれるまで30分ぐらいここで休んでくださいね」と。

カーテンを挟んだ隣にはあたしの前の時間に検査していて長引いた人が同じように休んでいる。

しばらくすると体を動かせる様になった。

暇だ。

と思っていたら、看護師さんが隣の人に声をかける「◯◯さーん!まだだるいですか?動けません?」

すると男の人の声で「そ、そうですね、だるいです」と。あたしが検査中も休んでいたのに大変だな。もうあたしはいつでも帰れるぞ。

そして寒いから靴下履きたいな。看護師さん、あたしにも声かけて!と思ったがスルーされた。

寒いし、暇だ。もう帰ろう。

ナースコール押したらきてくれたので「寒いんでもう着替えても良いですか?」と言ったら「まだ休んでてください」と。毛布をかぶしてくれた。

この看護師さんはいつも半分だけ願いを叶えてくれる人だ。

あー暇だ。結果はどうだろうか、もうこの場で結果発表〜〜〜!!って教えてくれてもあたしは構わないけどな。結果が早く知りたい。長いCM跨ぎだ。

隣の人が看護師さんを呼んでその部屋から出て行ったタイミングで「あたしももう大丈夫です」と言って体を起こした。


16時ー

やっと靴下はけた。暖かい。靴下最高!

そこから医者の話聞く為に待っていたら、さっきまで隣で寝てた人が診察室から出てきた。

かなり辛そうで、なんだか怖くなった。


診察室呼ばれて、結果発表。

ポリープが1つあって取り除いたとのこと。

「健康診断の時出した便に血が混じっていて大腸癌の所見有りとなっていたはずだが、痔もないし、取り除いたポリープも血が出る悪さをするような物では無さそうだし、うーーーん。ストレスでそうなったのかどうなのか」

と、またストレスかい。こんなけやってまたストレスかーい。

取り除いたポリープが良性なのか悪性なのかは2週間後にわかるとの事で、また病院に行かなかなきゃいけない。

「すごい緊張していた様で起きちゃいましたね」と言われたけど、ずっと寝てるようなもんなんかな?多分、催眠術とかにもかかりづらいのかなとか、全然関係ない事思ったりした。

最後に医者が「もう大丈夫ですよ。お疲れ様でした」と言ってくれて、心からの「ありがとうございました」が出たし、覚えてないけど、膝にデコつくぐらい一礼して、顔から体上げていったかなって思うぐらい頭下げたな。

病院を出て、ユカが待ってる車に乗り込んで結果発表したら「良かった〜!ほら、なんともなかったやろ?」と言ってくれた。


その日の夕飯はポリープ取り除くだけやったよ記念で野菜たっぷり鍋で、〆で雑炊してくれた。

検査後のあたしのことを考えての夕飯で感謝です。


健康診断は行ったほうが良いやろうし、その、結果に従って良くしようと思う心を持っていたあたしは良かったです。あたし本当頑張った。

あたしが頑張ったぞ!と思うことは全て息するレベルで他の人はやってのけるんだろうなと思う。

検査の詳しい結果もまだやのに、あたしはまた健康診断を終えた時の様に、世界一の健康人間になったつもりでいるが、何一つ健康でいようと思って気をつけていることはない。

癌かもしれないと言われてから意識が変わった。とか書けや!人生観変われや!と自分にヤジを飛ばしながらクソみたいに生きていきます。